Anner Bylsma

J.S.Bach: Suites for Violoncello Solo

オランダのチェロ奏者。wiki
バッハの無伴奏チェロ組曲。1979年録音。バロックチェロ(古楽器)を使ったもの。
 ライナーノートの中で、彼の語ることがとても興味深いです。同業者のバッハを聴いていると飽きてしまうが、当初は自分で弾いても飽きてしまう、こんなことでいいのかと愕然とした、とあります。
この録音は、組曲本来の舞曲として捉えて弾く、と彼の言う通り、全体に軽快でリラックスして聴けますし、飽きません。バロックチェロ独特の音色も、その大きな一因だと思います。普段はこちらを聴く事が多いです。

同じく1992年録音。
使われているのがストラドの1701年製、「セルヴェ」と呼ばれる大型のチェロで、全体的に音の重心が低く、低音はもの凄いエネルギーです。初めて聴いた時はかなりびっくりしました。
テンポの付け方にメリハリがあって、非常にドラマチックな演奏ですが、早いパッセージでも音がクリアなので、そこでまた圧倒されます。
上の79年盤を経て到達した彼のバッハは本当に素晴らしい。誰かも書いていましたが、これを聴いていると私も宮澤賢治の小説を思い出します。